スノーベンガルだいちゃんの必殺技炸裂!!術後だけど元気ハツラツぅ〜♪｜【猫と考える日本の未来】今、命があなたを生きている人生のマニュアル化

今年は本当に多くのことがありました。一番は大好きだった父親の死。生きとし生けるものに必ず訪れる「死」。私たちは、大切な人がなくなると、親族・地域の方々と協力し合いながら、葬儀を執り行います。人間が経済システムの中に取り込まれ、生き方さえもマニュアル化された現代社会の中で、「死」に対する考え方もその例外ではなくなってきました。人の死を見つめ、そこから問われる人間の相を考えてみたいと思います。

最近では、生きている時に、自分が死ぬまでのこと、自分が死んだ後のことを整理・準備する「終活」や、それに伝えておきたいことを事前に記録し残しておくための「エンディングノート」が書店で販売されています。内閣府の調査によると65歳以上の高齢者のいる世帯は、2013年時点で2243万世帯あり、全世帯の44.7％を占めるとの数字が出され、その数字も年々増え続けているのが現状です。このような状況の中で、自治体がエンディングノートを発行したり、2012年には、「終活」という言葉が「ユーキャン新語・流行語大賞」の候補に選ばれるほど、高齢化社会の中で重要視されるキーワードとなってきました。

高齢化が進む現代社会の中で、自身のことを整理し、死後の不安を少しでも解消することや、子どもや孫に迷惑をかけたくないという思いで「終活」を行うことは大切なのかもしれません。しかしそれは、人間の思いを適えるためのものであるという点において、生の延長線上の視座を離れることはないのではないでしょうか。

最近では、医療・介護をビジネスとする「死の商品化」は今に始まったことではありません。しかし、パッケージ化された効率化商品である「終活」は、人の関係のさらなる貧困化が行き着く先を露骨に示しています。個人用に作られたエンディングノートは、その象徴のひとつです。本来、人の死は人を繋ぐものでなければならないと思います。

人間は関係性の中で育てられ、生きています。しかし、その関係性を切り離し、あらかじめ用意されたマニュアルに当てはめるだけでは、私たちは本当に生きたことにならないのではないでしょうか。「死」という逃げることができない現実に向き合うことで、日頃の思いよりもっと深いものに出遇っていく、そのような縁がなくなってきている気がします。人生を貫く拠り所なくして、私たちは本当の意味で生きていくことが成り立つのでしょうか。

普段私たちは、なかなか「自分とは何か」「生きるとは何か」といった人間の根源的課題に目を向けることができません。しかし、私たちは本当に自分の力ではどうにもならないことをとおして、人間の存在が問われてくるということがあります。「死」はまさにその大切な縁です。

人生の最後を身をもって教えてくれた「生きとし生けるものは必ず死ぬ」という亡き人の問いかけを身をもって確認し、自分の生まれた意義をあきらかにしていく、かけがいのない場なのではないでしょうか。自分自身が「本当に生きる」ということを確かめるきっかけなのだと思います。

経済優先、自我を絶対化する現代社会の中で、埋没して終わっていくのか、根源的問題に向き合っていくのか、まさに一人ひとりが問われる時がきているのではないでしょうか🐾