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日本の医療とTPP(51)
「医学論文」と聞くとどのような印象を抱くのでしょうか。ましてや英語で書かれた論文になると、ある種の権威を感じるのではないでしょうか。しかし、一流雑誌に掲載される医学論文も決して中立ではなく、臨床研究に資金を提供している製薬会社の影響を強く受けているのです。医学論文では、今までにもさまざまなバイアス(偏り)があることが指摘されています。バイアスは医学以外の分野でも日常的に起こっているのです。
製薬会社に不都合な結果は論文として発表されないということです。製薬会社がスポンサーとなった研究で都合のよい結果が出た論文は、製薬会社と利害関係がない独立機関がおこなった研究論文より4倍も多く医学雑誌に掲載されています。一方、薬の販売促進に好ましくない結果が出た場合、医学論文として掲載されることはありません。
2004年にアメリカの大手製薬会社メルク社は、関節炎などの炎症を抑えるシクロオキシゲナーゼー2(COX-2)選択的阻害薬「ヴァイオックス(rofecoxib)」の長期使用による心血管リスクの増加が確認されたとして、同薬を全世界の市場から全面的に自主撤収することを発表しました。
ヴァイオックスは、1999年のアメリカでの発売を皮切りに、世界80数か国で販売されてきました(ただし、日本では未認証)。2003年における売り上げ総額が25億ドルにも上った超大型新薬でした。被処方患者は8000万人を超えると推測され、史上先例を見ない規模の医薬品撤収事件として、欧米諸国では学術誌、マスメディア、インターネットなどを通して、さまざまな報道や論評がおこなわれました。
この薬の副作用で7000件を超える訴訟を受け、これらを調査している最中に、「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に論文発表された研究結果で、心筋梗塞の合併が起こっていた症例を隠蔽していたことが明らかになったのです。この事件をきっかけに、アメリカで、医薬品の承認に至る科学的根拠となる臨床実験や論文の問題が詳細に調べられ、報告されました。その調査報告を要約すると、
(1)多くの論文が製薬会社スポンサー、または第三者である医学出版系ゴーストライターによって書かれており、学識経験者(医師、研究者)の名を使って出されている。
(2)医薬品による副作用や死亡率は、論文などに公表されたデータと製薬会社内の本当の実験データとで食い違いがある。
(3)医学論文や学会に公表されるデータに関して、都合の悪い副作用のデータは見かけ上、低くなるような統計処理がおこなわれるのが通常である。
(4)製薬会社との利害関係にきちんと言及している論文は半数に満たない。
適切な引用がないと、製薬会社に不都合な論文は無視され、科学的知見(エビデンス)が歪められます。そのような臨床試験の結果は解釈できないでしょう。
このように、医師たちは構造的に製薬会社の都合の悪い研究結果を知ることができないのです。医学の世界でもこの有様ですから、他の世界でも推して知るべしです。私たちは権力者に“都合のよい”現実だけを見せられていることに注意深くならなければなりません。
医学雑誌に投稿される論文は事前に「ピア・レヴュー」という、同分野の専門家たちの評価を受けることになります。その評価で論文の掲載、不掲載が決定されます。このピア・レヴューは、投稿された論文の方法、データの統計処理方法、結果の妥当性を雑誌の編集者(レヴューワー)がチェックするために、医学雑誌の権威が保たれるということになっています。最近では研究そのものが細分化されて、非常に専門性が高くなっていますので、医学雑誌の編集者がその研究に詳しい人たちに評価を依頼しています。論文が評価する側のレベルよりも先進的で素晴らしい内容であるほど、評価する研究者の「妬み」で論文掲載を拒絶される確立が高くなるでしょう。場合によっては、論文掲載を故意に遅らせて、その間に、その論文内容を自分たちで剽窃してしまうかもしれません。
イギリスの医学者エドワード・ジェンナー(1749〜1823年)が、1796年に天然痘に対するワクチン接種治療を開発し、当時のイギリスの医学雑誌に投稿しましたが、レヴューワーたちに拒絶されました。近年のノーベル医学賞を受賞する研究者も、ほとんどが最初に自分たちの論文を投稿した雑誌には掲載を断られています。ピア・レヴューといっても生身の人間がするものですから「嫉妬」や「羨望」などの感情でサイエンスが歪められるのです。
医師が治療の拠りどころとしている医学論文は、決して純粋な事実(ファクト)が書かれているものではありません。とくに、研究資金が製薬会社から提供されているような論文は注意が必要です。実際の現場の医師たちは日常的に忙殺され、自分の専門は別としても毎日洪水のようにあふれる他の医学論文の真偽まで詳細に検討することはほとんどありません。また医学論文は統計を駆使していますが、じつは、統計に十分な知識がある医師は少ないのです。統計の知識がないと数字に容易に騙されてしまいます。専門家といわれる医師でさえ“教育”され、騙されているのです。
つづく・・・
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それにしても~猫じゃらし動き早すぎ・・・