『吾輩は猫である』などで知られる夏目漱石は俳人でもあります。その中に次の一句があります。
落ちざまに虻を伏せたる椿かな
虻(アブ)が椿(ツバキ)の蜜を吸っている最中に花が落ち、その中に虻が閉じ込められたという句です。夏目漱石の門下生の一人に物理学者であり俳人・随筆家でもある寺田寅彦がこの俳句に疑問を持ちます。花は仰向きに落花するのかうつ向きに落花するのか。ウィンゾリーの場合はどうでしょうか。そもそも、なぜ花は落ちるのか。植物を栽培し、受粉をし種を採取する際にはこの問題を考えると、本来の受粉後に何が起こるのかが理解できるのではないでしょうか。
花枝の先端に形成される蕾の元には離層があります。離層は細胞間を接着している物質を分解する酵素によって細胞間物質が分解されれ、花枝と花の元の細胞間が引き離され花が落花します。花全体が脱落した場合は、受粉・受精が不調に終わった場合に起こります。本来は昆虫などのポリネーター(花粉媒介者)によって花から花へと花粉を運び受粉するのが自然受粉ですが、自生地であるマダガスカルとは環境も異なり、確実に受粉をさせるためには花の仕組みを理解することで、ウィンゾリーの人工受粉の成功のヒントがあるのだと思います。諦めず、考え続け、行動する。






4月5日 栽培管理中の windsorii の一番花 開花し始める
4月5日 一番花 → 一番花落花(4月11日/5日後)
4月10日 一番花人工授粉を行う(A株↔B株) ※開花1日目 ※A株(A花枝)
4月11日 二番花 開花 → 二番花落花(4月17日/6日後)
4月12日 二番花 人工授粉を行う(A株↔B株) ※開花1日目 ※A株(A花枝)
4月16日 三番花 開花 → 三番花 落花(4月24日/8日後)
4月19日 三番花 人工授粉を行う(A株↔B株) ※開花3日目 ※A株(B花枝)
4月23日 四番花 開花 → 四番花 落花(4月27日/4日後)
4月24日 四番花 人工授粉を行う(A株↔B株) ※開花2日目 ※A株(A花枝)
4月27日 五番花 開花(B株)
4月28日 A株 花枝(B)4月28日開花、花枝(C)も4月29日開花(B株:2個開花)
4月30日 五番花 人工授粉を行う(A株↔B株) ※開花1・2日目 ※B株(花枝B・C)
5月4日 六番花 開花(A株) → 六番花 落花(5月9日/5日後)
5月6日 二番花 開花(B株 花枝B・C 二番花) → 二番花 落花(5月13日/6日後)
5月11日 七番花 開花(A株)受粉予定なし
5月11日 新たな花枝(B株)が伸びる 蕾(4つ)
※A株実生25年のPachypodium baronii var. windsorii
※B株実生25年のPachypodium baronii var. windsorii の血統の子孫
【人工受粉の結果】
一番花 A株 成功 ↔ B株 成功 ※開花 1日目 人工授粉(受粉方法:A)
二番花 A株 成功 ↔ B株 成功 ※開花 1日目 人工授粉(受粉方法:B)
三番花 A株 成功 ↔ B株 成功 ※開花 3日目 人工授粉(受粉方法:C)
四番花 A株 成功 ↔ B株 成功 ※開花 2日目 人工受粉(受粉方法:A)
五番花 A株 ↔ B株 (花枝B・C)成功 ※開花1・ 2日目 人工受粉(受粉方法:A)
六番花 A株 ↔ B株 (花枝B・C 二番花) 成功
※A株 開花4日目(雄しべ)→ B・C株 ※開花 2日目 人工受粉(受粉方法:A)
七番花 予定なし
4月27日(月曜日)・・・人工受粉四番花までの感想
記録はA株・B株の2株に対して記録を書き残す。人工授粉を行う場合には、受粉方法はAが自然に近い状態で受粉ができ一番適していると思う。受粉が成功している場合には、花の子房が膨らんだ状態で花だけが落花する。失敗している場合には、子房は膨らまず落花する際に子房ごと落ち、花枝の先端から伸びた部分の退化も早く綺麗に全部の部位が落ちる。
人工受粉の方法により種さやの成長の速さも異なる。A方法が一番種さやの成長が早く、B方法は落花に時間がかかる。C方法は自然受粉と比較した場合には、受粉する際にこの状態になることは無いため、受粉の成否は別としても不適切なのかもしれない。
A・B株に限らず、開花後の人工授粉が一番成功率が高くなる。明確に違う部分は採取できる雄しべからの花粉の量が異なる。蕾が膨らみ開花する直前(まだ、蕾が開かず丸い状態)でも花粉の採取は可能だが、花が開花していない為、雄しべの花粉が湿っているため採取できる量は少ない。
人工受粉を行った後、落花は日中ではなく夜間に落下している。
2020年は多くの花で受粉のテストをし記録を残しておきたいと思う。受粉を20株で多く行っているため今年はかなり多くの種が採取できると思う。日頃から種の保存として情報交換をさせて頂いている方を中心に無償で種子は譲り、今後のデータ採取に役立てたいと思う。日本国内で実生で25年経過し、現存している株は無いと思われる。開花し人工受粉に至るまでの1年間の詳細な栽培環境データは登録者にのみ公開することにする。
海外の方からの問い合せが非常に多いため、一度農林水産省の植物検疫所に問い合わせを行い、種を海外へ送れないか、送るためにはどうすればいいのかを考えてみたいと思う。
純血種の Pachypodium baronii var. windsorii の栽培にチャレンジしたい方には種を譲りたいと思います。今までブログでも案内しますが、2020年3月から今更ではありますが、Twitterを始めたので、Twitter(@Poe_Aosorafuu)をフォローして頂けたらと思います。時々植物の状態や種子等の配布等の情報をツイートしたいと思います。Twitterでは植物とはあまり関係ないこともツイートしていますがご了承下さい。あくまで、植物を大切に育てて頂ける方、情報交換をさせて頂ける方に対し、一定の条件を設けてお譲りしたいと思います。種さやが成熟し割れ鮮度が一番高い状態でお譲りしたいと思います。まだ先になりますが楽しみに待っていて下さい。
※必ずしも種をまいたからといって発芽するものではありません。それなりの環境等は必要となります。この点はご理解の程よろしくお願いいたします。

Pachypodium baronii var. windsorii♀ × Pachypodium baronii var. windsorii♂
種子採取日時(2020年6月5日 撮影7:42)
採取場所(岐阜県 自宅)
気象データ(最高気温33.5℃ 最低気温20.9℃)
最大瞬間風速(m/s)(11.5(8.7(南西)

Pachypodium baronii var. windsorii♀ × Pachypodium baronii var. windsorii♂
種子採取日時(2020年6月6日 撮影12:12)
採取場所(岐阜県 自宅)
気象データ(最高気温30.3℃ 最低気温22.1℃)
最大瞬間風速(m/s)11.5(西南西)


撮影:2020年7月15日

撮影:2020年7月21日

撮影:2020年7月23日

撮影:2020年8月15日

撮影:2020年9月10日

撮影:2020年9月10日
ウィンゾリーの人工受粉について、凄く詳細なデータで参考になりました。
過去、CITES1の品種ですとウィンゾリー、デカリー(パキポディウムの方です)の人工受粉に何度か挑戦したのですが、成功したのは僅かでした。何とか維持していきたいと思いましたが、慣れた方の方がと思い、ウィンゾリーはベテランの知人に譲ってしまいました。代わりに頂いたデカリーで今年は何とか受粉させたいと思っています。