自分で花や野菜を栽培することはとても楽しいものです。私はコーヒーを試験栽培しています。私は農家でもなければ喫茶店のオーナーでもないし、バリスタでもありません。コーヒー栽培をしているとよくメールで質問が届きます。品種は何ですかとか、種はどこから入手しましたかと。コーヒーも今となっては酸味や苦味や甘みやコクや香りを産地別や品種で分類分けしていますが品種改良をしすぎているような気がします。成長していく過程で、自然にその土地に適応したコーヒーができればいいのではないかと。一定の基準を決めるのであれば、一定の環境下で栽培しなければならない。一定の環境下で育てることが可能ならば産地は関係ないのではないかと思います。
今、日本で売られている野菜の種がほとんどがF1種であります。生物学用語では、First Filial Generation の略で、交雑によって生まれた第一代目の子を意味し、日本語では「一代雑種」と言われています。
F1は種苗会社でつくられた規格野菜をつくるのに好都合な種であり、同じものがつくることができない仕組みの種となっています。
このF1という種のつくり方も、はじめは自家受粉をしないよう「除雄」というおしべを除く方法、次いで自家不和合性という性質を逆手にとった方法、そして今多用されているのが「雄性不捻」という花粉をつくれなくなった突然変異種を使う方法です。要は意図的に遺伝子を組換しているのと同じ事になります。この「雄性不捻」は、ミトコンドリアの異常によって引き起こされ、受粉にはミツバチが大量に使用されているといいいます。
最近ではミツバチ大量失踪して問題となったり、ヨーロッパでは2年間特定の農薬の使用を禁止が決定したりと。ミツバチの失踪にはネオニコ系農薬と強い相関の謎もあります。雄性不捻というミトコンドリア異常の植物の花粉を摂取し続けてきたミツバチにもミトコンドリア異常が起こっているのではないかという説もあります。
つまり、われわれが今普通に食べている野菜は、そのほとんどが雄性不捻というミトコンドリア異常または遺伝子組み換え済みの植物ということになります。もし、仮説が正しければ、私たち人間にも危機が迫っているのかもしれないと思うと背筋が寒くなってきます。
そして、遺伝子組み換え作物の遺伝子組み換え技術も存在し、その種子が発芽と同時に死んでしまうアポトーシスを組み込んだものまで登場している現実。従来の科学は生きるための科学。このため、細胞の死についてはあまり研究されてきませんでした。細胞の寿命による自然な死に対して、プログラムされた死(アポトーシス)というものが存在することが分かってきました。この花粉が広まればすべての植物が死滅してしまう可能性も当然考えられます。
昔の農家は、野菜を収穫した後に、来年用の種を自家採取していたが、何かと便利なF1種が普及するにつれ、わざわざ種を採取しなくなり、種苗会社の種を購入するようになってきました。種苗会社は、特定の病気や農薬に強い野菜の種を開発していけば、ぼろ儲けできます。まさに「種を征するものは世界を征す」というわけで、世界の大手種苗会社や農薬メーカーは、資本提携・業務提携あるいは企業買収などにより、遺伝子組み換え種の開発競争などに血眼になっているのが現状です。
遺伝子組み換え種の承認を急ぐ日本の厚生省の態度は、国民の健康や安全の重視よりも、バイオ企業の利益を優先していると考えられてもしかたありません。
日本における承認済み遺伝子組み換え作物一覧(バイテク情報普及会)
アメリカでは包括予算割当法案が成立しています。その中に遺伝子組み換えに関する重要な条項が潜り込ませて議会で議論されないまま静かに書き加えられ、バラク・オバマ大統領もこの条項に署名しました。安全への懸念があっても遺伝子組み替え作物の作付けを差し止められないとする「モンサント保護法」が成立しました。
この条項は「モンサント保護法」と皮肉られています。消費者の健康を害する懸念がある遺伝子組み換え作物の種子でも、法的に植え付けや販売を差し止めることができないと定めています。危険だと証明されない限り、モンサントなどの会社は遺伝子組み換え作物を生産し、売り続けることができるということになります。日本でモンサントと提携しているのが住友化学で、その会長が経団連の米倉弘昌となります。そして、その米国のルールを日本に持ち込むきっかけとなるTPPへの日本の参加表明。
アメリカでは「食品安全近代化法」という農作物に対する大規模な規制法案が成立しています。この法案と「モンサント保護」法の2つで、アメリカの農業を遺伝子組み換えに一斉に変えてしまおうというシナリオです。
遺伝子組み換え植物が水面下で増えるというのならば、それに対抗していく方法を考えないといけないと思います。組み換え済みの種子でまん延する前に行動しなければなりません。
私は、古来からの伝統である固定種の種を使う活動を私は支持していきたいと思います。そして、私たち消費者も野菜や果物の味や形ばかり求めるのではなく、不ぞろいでも個性のある野菜や果物を手に入れるようにしていかねばと思います。
仕組まれたシナリオか、今度こそ生命を正しく使ってくれるようになって欲しいと思います。
これからやってくるであろうTPPは、人々が食や農業に関心を持つ良いきっかけとなるかもしれません。
日本はこのピンチをチャンスに変えて、本当の意味で自給できる国へと生まれ変わるタイミングに来ているのだと思います。
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