本日(2015年7月15日)、1ヶ月ごとの検診のため呼吸器科へ行き、特発性肺線維症(idiopathicpulmonaryfibrosis:IPF)の進行具合を診てもらいました。レントゲン撮影をし、前回撮影した写真と比較診察した結果、線維化が進行し同時に気胸により肺の収縮も進行しているとのことで、胸腔ドレナージ術を行い虚脱した肺を元に戻し(再膨張)、肺の内圧を少しでも改善するための経過観察を含め1~4週間入院することが決まりました。
【胸腔ドレナージ】
目次
特発性肺線維症(idiopathicpulmonaryfibrosis:IPF)とは
間質性肺炎とは、広くびまん性肺疾患として胸部放射線画像上両側びまん性の陰影を認める疾患のうち、肺の間質(狭義では肺胞隔壁、広義では小葉間間質、胸膜近傍などを含む)を炎症の場とする疾患。その病理像は多彩で、職業性や薬剤など原因の明らかなものや膠原病随伴性に起こる場合と、原因が特定できない場合がある。特発性間質性肺炎(idiopathicinterstitialpneumonias;IIPs)は原因を特定できない間質性肺炎の総称であり、下記7疾患に分類される。
1)特発性肺線維症(idiopathicpulmonaryfibrosis:IPF)
2)非特異性間質性肺炎(nonspecificinterstitialpneumonia:NSIP)
3)特発性器質化肺炎(cryptogenicorganizingpneumonia:COP)
4)呼吸細気管支炎関連性間質性肺疾患(respiratorybronchiolitis-associatedinterstitiallungdisease:RB-ILD)
5)剥離性間質性肺炎(desquamativeinterstitialpneumonia:DIP)
6)リンパ球性間質性肺炎(lymphocyticinterstitialpneumonia:LIP)
7)急性間質性肺炎(acuteinterstitialpneumonia:AIP)
特発性肺線維症(idiopathicpulmonaryfibrosis:IPF)における気胸の治療方法としての胸腔ドレナージ
間質性肺炎ではしばしば続発性気胸を合併し難治性であることが多い。特発性肺線維症(idiopathicpulmonaryfibrosis:IPF)における気胸発生頻度は3.6~11.4%とされている。通常は気胸の治療として胸腔ドレナージ、胸膜癒着術、胸腔鏡下手術、開胸手術、気管支塞栓術などを施行するが、基礎疾患に間質性肺炎がある場合には呼吸機能不良のため手術療法を選択することが困難であり、保存的治療のみでは難治性であることも多い。
間質性肺炎症例では原病の進行により肺胞破壊と線維化をきたし、肺胞道を中心とする気腔の囊胞状拡張が時間の経過とともに増大し、更に横隔膜運動に伴う陰圧で胸膜直下のブラが破綻するために気胸が生じると考えられている。
特発性肺線維症(idiopathicpulmonaryfibrosis:IPF)は、慢性経過で不可逆性に進行性の肺線維化をきたす予後不良の疾患であり、平均生存期間は2~4年、5年生存率が30~50%とされている。
胸腔ドレナージ(きょうくうどれなーじ)術とは
胸腔内に貯留した空気や液体、血液などを、胸から刺し留置したチューブで持続的に外に排出する処置。
・胸水であればX線検査や超音波検査などで位置を確認し穿刺部(せんしぶ)の皮膚と壁側胸膜に局部麻酔を注射します。その後、針の外側にチューブをかぶせたトロッカーカテーテルという器具を皮膚から胸腔内へ挿入し、胸水の逆流を確認後、針を抜き、チューブのみを残します。胸水の排出を確認し、糸で固定して終了します。チューブは持続吸引の器械に接続します。
・気胸の場合は、トロッカーカテーテルを挿入し、漏れた空気を外に誘導できるようチューブを挿入し、固定します。
胸水や空気を排除することにより、圧迫された肺が再膨張し、呼吸機能を回復させることができるとともに、胸水の場合にはさらに検査を行うことで、胸水貯留の原因疾患を特定できる可能性があります。
胸腔ドレナージ術に伴う合併症
合併症には以下のものがあげられます。
・局部麻酔剤に対するアレルギー反応:血圧低下、意識混濁などを生じることがあります。
・胸膜ショック:胸膜を針が貫くときに神経の反射を介して血圧が低下することがあります。
・出血:抗凝固剤や抗血小板剤などを内服していると、出血を生じることがあります。
・肺損傷、気胸:針やカテーテルが肺を傷つけたり、それにより医原性の気胸を生じることがあります。
・皮下気腫:気胸の場合、トロッカーカテーテル挿入部位から皮下に空気が広がることがあります。
合併症の対策
・血圧低下や意識混濁などが生じた場合は、すぐに点滴処置をし、昇圧剤などを使用して状態を回復させます。一般的には少し様子を見るのみで改善することが多いので心配はありません。
・内服薬を事前に確認し、抗凝固剤や抗血小板剤を内服している場合は、内服を中止して7~10日間おいてから穿刺をします。
・出血した場合には止血剤の点滴にて経過を診ます。
・トロッカーカテーテル挿入直後からしばらくは、感染予防のために抗生剤を投与します。
その後の処置
・胸水に対しては確定診断がついた段階で原因疾患に対する治療を行うことで減量すれば、抜去します。
・悪性腫瘍に伴う胸水の場合は胸膜癒着術といって、胸膜に炎症を起こさせる薬剤を注入し、胸水貯留を止める方法をとることがあります。
・気胸の場合、空気の漏れが止まらない場合や、皮下気腫が高度な場合は手術療法を選択します。
・数日で空気の漏れがなくなれば、トロッカーカテーテルを抜去します。
在宅酸素療法の導入と自己負担について
今回、在宅酸素療法を導入するにあたり酸素濃縮装置と酸素ボンベを設置します。酸素濃縮装置と酸素ボンベ及び呼吸同調式デマンドバルブ(サンソセーバー)を利用するにあたり必要な負担額。
・健康保険の負担額が1割の場合: 7,680円/月
・健康保険の負担額が3割の場合:23,040円/月
※各都道府県、市町村、加入する健康保険の条件により異なります。
・薬代 ピレスパ錠 695円(1,400/日 42,000円/月)
※ジェネリック医薬品はないのが現状
入院診療計画書(平成27年7月15日)
病名:間質性肺炎 特発性肺線維症 右胸腔 心筋梗塞後
症状:労作時呼吸困難感
治療計画:脱気 胸腔ドレナージ
検査内容及び日程:採血、レントゲン等 適宜行います
手術内容及び日程:ありません
推定される入院期間:1~4週間程度の予定
特別な栄養管理の必要性:有り
その他:入院診療計画書(看護編)
入院診計画書1
《目標》
・転倒・転落することなく、安全に入院生活を過ごすことができる。
【こんなことをします】
・ベットの高さを合わせます
・ベッド周囲の環境を整えます(ベッドストッパーの収納や身の回り品の整理)。
・ナースステーションに近い病室、又は観察しやすい場所に移動します。
・ふらつきやめまいがある時は、移動時に付き添い、援助します。
・ナースコールを手の届く場所に設置します。
【次のような症状があればお知らせ下さい】
・ふらつきやめまいが強い時。
・足の力が入りにくい時。
・転んでしまった時。
【気を付けて頂きたい事】
・ふらつきやめまいがある時は、一人で動かないようにしましょう。
・点滴棒を支えにして動かないようにしましょう。
・歩く時は、慣れた履物で、ゴム底のものを使用しましょう。
・寝衣は体にあったものを着用しましょう。
【家族や周囲の人へ】
・入院生活に必要ないものは、持ってこないようにして下さい。
・点滴や酸素を触るような行動があればお知らせ下さい。
・状況により、ご家族にご協力を頂く場合があります。
入院診計画書2
《目標》
・呼吸が楽になる。
・息苦しさの程度に応じて、日常生活や運動量が調節できる。
【こんなことをします】
・息苦しさがあり、日常生活に制限があれば状態に合わせて援助します。
・酸素の値を測定し、医師の指示に基づいて酸素の量を調整します。
・呼吸状態、痰や咳の有無、呼吸音を観察します。
・酸素のマスクや管が適切に装着されているか確認します。
・チューブ挿入中は、排液の量や性状、発熱の有無、挿入部の痛みがないか等の観察をします。
・呼吸状態に応じて、呼吸が楽になる体位の工夫や、介助を行います。
【次の症状があればお知らせ下さい】
・発熱がある時。
・息苦しさやその症状が強くなった時。
・痰がうまく出せない時。
・酸素をつけたまま、車椅子や歩行時などで移動したい時。(酸素は、医療者が付け替えします。)
【気をつけて頂きたいこと】
・むせると息苦しさが強くなる可能性があるため、食事の時はゆっくり食べましょう。
・酸素を装着したまま移動する時は酸素の管があるため、移動時は転倒に注意しましょう。
・酸素の量を最小限にするために、安静にしましょう。
・体を締め付けるようなものは避け、ゆったりとした寝衣を着用しましょう。
【家族や周囲の方へ】
・食事の時にむせる場合は、一旦中止して、医師や看護師にお知らせ下さい。
入院診計画書3
《目標》
・希望に沿った退院ができる。
・退院後のせいかつについて不安がなくなる。
・症状が悪化した時、合併症がおこった時の対処法がわかる。
【こんなことをします】
・病気について疑問に思っていることや不安に思っていることを医師や多職種と相談・検討し、解決できるようお手伝いをします。
・退院後に必要となる処置やケアについて、説明・指導をさせていただきます。
【次のようなことがあればお知らせ下さい】
・自分の病気がわからない(病状を知りたいとき)。
・退院後の生活に不安があるとき。
・家族間で治療や退院について意見が異なるとき。
・退院に向けてどうしたらよいかわからないとき。
・今まで出来ていたことが出来なくなったとき。
・今の状態に合わせて自宅をリフォームしたいとき。
【気をつけていただきたい事】
【家族や周囲の方へ】
・治療方針や予後など、わからないこと、困ったこと、不安に思うことがあれば看護師にご相談ください。
・退院について(自宅退院、転院など)は本人と家族で話し合ってください。
・本人・家族を交えて話し合いを行います。聞きたいことや相談したいことを確認しておいてください。また、話合いの場への参加もお願いします。
・退院指導時の内容によっては家族にもお願いする場合があります。
・1人の介護者のみに負担がかからないよう、ご家族間での強力をお願いします。
・早めの相談・各種申請が必要です。ご相談ください。
今日のお父さん(7月15日)
診察後、胸腔ドレナージ術を行い、即入院とのことで少し驚いた様子でした。胸腔ドレナージは主治医の先生が行いました。時間は処置室に入り約30分程度で終わりました。術後はやはり違和感があり病室に案内されるまで横になっていました。酸素量は移動時は1Lと今までと変わらない量を使用することになりました。突発性肺線維症と診断を受けてからは、肺機能の悪化に伴い話をしたり、移動や食事をする際に肺に刺激が加わり痰を伴わない空咳や鼻水が多く出ます。食事に関しては、食欲はあるものの食べ終わるまでに時間がかかるようになりました。運動をするのも困難で筋力が落ち、それに伴い体重も落ちてきています。完治は難しい病気ではありますが、急激な悪化を防ぐとともに、症状を改善を目指し、お父さんのQOL(Quality of Life:生活の質)を高めれるようにしたいと思います。
今日のお父さん(7月16日)
今日は、昼食と夕食時に病院へ行ってきました。食事は3食とも完食することができました。酸素量は夕方トイレ後の為93でした。ドレナージを行っていることもあり、呼吸することが楽とのことでした。咳や大きく息を吸うと圧が高くなります。間質性肺炎に伴う気胸は完治性が低いため、仮に手術を行う場合には胸膜癒着術が適しているとの説明を受けました。しかし、肺の線維化に伴い肺に別の穴ができることも考えられるとのことです。急性心筋梗塞の手術も行っている為、抗凝固剤を服用していたため服用を一時的にとめて、ドレナージを装着し脱気をし肺の収縮等を確認していくとのことです。各食事後には、歯磨きと洗顔をし、現時点では入浴ができないため体を拭き下着の交換をしました。
各種申請等の手続き状況
・特定疾患医療受給者証交付申請書:申請書類は提出済
・医療保険等の請求手続き:請求書類は提出済(7月15日以降については未提出)
【過去記事】
・【親の自宅介護と自分の介護】特発性肺線維症(idiopathicpulmonaryfibrosis:IPF)|【今日のお父さん】HOTと一緒に外食に行ってきたよ♪ (2015/06/15)
・【親の自宅介護と自分の介護】特発性肺線維症(idiopathicpulmonaryfibrosis:IPF)6月6日退院し、自宅で在宅酸素療法を始めました。在宅酸素療法にかかる費用と難病(特定疾患)の申請について (2015/06/07)
・【親の介護と自分の介護】特発性肺線維症(idiopathicpulmonaryfibrosis:IPF)5月27日 病院へ行く (2015/05/27)