Pachypodium baronii var. windsorii の開花のタイミングを調整し、今年は20株の一番花のタイミングが揃いました。一番花が揃えば二番花、三番花と揃ってくるので、まずは20株の一番花の人工授粉を行いました。Pachypodium baronii var. windsorii は自己の花粉では受精しない性質(自家不和合性)を持っているので別の株の花の雄しべから採取した花粉で受粉を行っていきます。
地球上においては、生命体は約40億年前に誕生し、環境の変化に適応できない種は滅び、一方で新たな種が環境に適応しながら進化を続けてきました。私たち人類が出現したのは500万年前ぐらいです。その人類の開発等によって自然が破壊され貴重な植物が絶滅し、昨今では盗掘などにより次々と姿を消しているのが現状です。
地球に生きるのは人間だけではなく、人間を含むすべての生き物は、他の多くの生き物が豊かな個性と繋がり空気・水・土などで構成される環境の中で相互に関わりあり生きています。この地球上から森や動物、小鳥や小動物、魚や昆虫などが絶滅してしまい、人間だけが残る。地球上に立派なビルやITシステムが残ったとしても人間は生きて食糧難等の問題により生きていくことはできません。
昨今ではウイルスによる新しい感染症が続々と出現しているのも事実。例えば1950年代末からでも発生したウィルスの数は約40種にも上ります。発生の原因は、諸説いろいろ考えられますが、自然環境の大規模な破壊が原因で生息地を追われた野生動物が本来持つ病原体が拡散しているケースもあります。また、都市化が進み建物と人との過密社会が感染症の温床になり、パンデミック化を引き起こしているのだと考えられます。
今なぜ、植物が絶滅しなければならないのか。もちろん絶滅しているのは植物だけではありませんが、今の自分に何ができるかを常に自分に問い掛けながら、大切に植物の種の保存活動を行っていきたいと思います。
4月5日 一番花 開花
4月6日 一番花 人工授粉を行う(20株:20個開花)
4月10日 一番花 落ちる※Windsorii(ウィンゾリー)は花首から落ちます
4月11日 二番花 開花
4月12日 二番花 人工授粉を行う(20株:20個開花)
4月16日 三番花 開花
※花枝に6個の蕾が付いています。
Pachypodium baronii var. Windsorii は、分枝の先端に約4〜6個の花芽がつきます。Baronii(バロニー)とWindsorii(ウィンゾリー)の違いが分かる点は開花した時。バロニーは花弁が波を打つような形に対して、ウィンゾリーの花弁は丸い円形に近い形をしています。1本の枝先端から花枝が伸びます。一番花から次の二番花は約5〜7日後に開花していきます。分枝がしやすいウィンゾリーは開花シーズンは非常に長い期間花を楽しむことができます。屋外での昆虫による自然受粉も可能ですが、昆虫の動きが活発となる春頃に開花時期を調整しておくことで自然受粉も可能となります。ただし、受粉の成功確率は低くなります。
開花のタイミングは一年間の栽培環境のコントロールによって決まるので、屋外の温室で栽培するのか、室内で加温をしつつLED照明等で栽培するのか。屋外に出したり入れたりすることにより、植物内のホルモンバランスによるタイマーが乱れるので、可能であるならば同じ環境で栽培した方が開花させやすいです。開花のタイミングはLED照明等を使い調整することは可能です。朝方日が昇る前に受粉作業を行います。人工受粉後は花に水をかけると花粉が流されてしまうので花には水がかからないように注意します。
人工授粉を行わない株は、一番花・二番花を楽しみ不要なつぼみを摘蕾して少数の花に養分を集中させます。すべての花を開花させ人工受粉させ結実させると、株は多くの養分を消費するので受粉させない蕾は早めに摘蕾し、株の弱りを防ぎ新芽の成長を促進させます。受粉が成功し種鞘が形成され種が採取できるまでの道のりは長いので、大事にウィンゾリーを育てていきます。
オークション等でウィンゾリーの苗が出品されていますが、葉が細長く幹もひょろっと細長い株のものは純血種ではなくハイブリット株です。Baronii(バロニー)とWindsorii(ウィンゾリー)では葉の形状も花の形状も幹の形状も異なるので注意が必要です。ウィンゾリーは多頭を形成することは珍しく、分枝しやすいので、成長した株の寄せ植え株は多頭株ではないので注意が必要です。