シンビディエラ・パルダリナ(パーダリナ) 育て方 備忘録

シンビディエラ・ロドキラ(パルダリナ) Cymbidiella rhodochila=Cymbidiella pardalina

目次

シンビディエラ・ロドキラ(パルダリナ,パーダリナ) Cymbidiella rhodochila=Cymbidiella pardalinaの自生地や環境について

シンビディエラは、ラン科・Cymbidiella 属(シンビディエラ属)の着生タイプのラン。マダガスカル島の熱帯雨林に分布し、標高600~800メートルに自生する着生ラン。花は径5〜6cm。緑色で唇弁は赤色。花期は初夏。草丈は約50〜80cm。

ロイ・ベール氏の著書の中に、マダガスカリエンセ(P.madagascariense)は自然界では、シンビディエラ・ロドキラの根に活着しながら、アリと一緒に共生していると記載されています。

In nature, these spaces are inhabited by ants, and the roots ofthe orchid Cymbidiella rhodochila.

出典元:Platycerium hobbyist’s handbook by Roy Vail

水やり・肥料について

水やりは、水苔が乾燥しきってから水をあげるようにします。冬場のランはほとんど成長しないので水のあげ過ぎに注意し、暖房等で気温が高くなる場合は温度によって水の量や回数を変えます。ランを枯らしてしまう原因は水のあげ過ぎによる根腐れですのでしっかり乾ききってから水をあげます。

シンビディエラ・パルダリナは初夏に開花するため春先の4~7月の間、一ヶ月に1回の割合で油かす、またはモルコート(洋蘭用肥料・緩効性ロングコーティング肥料)をあげる。モルコートは水やりのたびに少しずつ溶けながら肥料の成分を根まで届かせてくれます。6~9ヶ月間かけて溶けていくので1年に1回与えるだけで、ゆっくり長く効き翌年まで追肥の必要もなくおススメ!

シンビジウム・胡蝶蘭・ デンドロデュームなど栽培品種によって適した肥料が異なるので注意。

栽培環境について

「シンビディエラ・パルダリナ」は寿命というより数年立つと葉を落とす性質がある。水苔で育てるのも問題ないが、他の洋ランがなければバーク材で問題はない。バーク材は型崩れしにくく、空気及び水分容量も高い。自生地では木に活着している植物なので、バーク材から根が見えていても問題はない。

LEDを使用した栽培環境について

植物は基本的に光合成によって成長します。光形態形成があり、これには弱光反応、強光反応があり、フィトクロームという色素の働きを介して、花芽分化、開花、子葉の展開、葉緑素合成、節間伸張などの植物の質的変化に影響を与えます。

「シンビディエラ・パルダリナ」は多肉植物型光合成(CAM型光合成)を行う植物であり、夜間、空気中の二酸化炭素を取り込んでリンゴ酸として植物体内に蓄積し、光をエネ ルギーとして葉の中の葉緑体の光合成により蓄積したリンゴ酸から糖を合成していきます。光合成にはクロロフィル(葉緑素)という色素が関係し、基本的には赤色(660nm近辺)と青色(450nm近辺)に2つの吸収ピークがあります。

「シンビディエラ・パルダリナ」の開花と光の関係は現在調査中です。一般的に日照時間が長くなると開花する長日植物、その逆に日照時間が短くなると開花する短日植物、そして日長いに関わらず花芽を形成する中性植物があります。

開花に関しては、赤色(660nm)に吸収極大をもつフィトクロームが関与し、赤色光吸収型(Pr型)と遠赤色光吸収型(Pfr型)の2つの型があり、赤色(660nm)照射下ではPfr変化し、短日植物では、Pfr量の増加により花芽形成が抑制されます。長日植物では遠赤色光の光量は変えず、赤色光を減らし、青色光を増やすことで開花が促進することができるか確認中です。

開花率を高めるのに青光や青緑光が有効になる理由としては、一般的には青色火受容色素であるクリプトクロームが花芽形成に関与しますが、実際にはその他の環境要素や花芽形成を促進する光受容体が影響している可能性も考えられます。

十分な光量、適切な環境・光スペクトラムでの栽培環境下での「シンビディエラ・パルダリナ」栽培では葉が立ち上がる傾向があります。これはオーキシンという植物ホルモンの作用が活性されているからと考えられ、さらにオーキシンは根の成長にも関与しています。適度な紫外線は色素、ビタミン等が関わり花の色にを濃くします。

クロロフィルの吸収スペクトルと光習性を変化させながら、照明だけではなく植え込み状態、施肥、温度、湿度、水やり、換気等の環境因子とも関係があるので、葉緑素計で計測しながら適切な栽培環境を探し出しています。

病気と害虫対策について

ナメクジ・カタツムリ

ナメクジ、カタツムリに関してはナメナイト・ナメクリーン3(なめくじ・カタツムリ駆除剤。顆粒状で使いやすいメタアルデヒド粒剤)を2~3ヶ月に一回鉢の端の方においておく。カタツムリが多いようならば温室全体にまいておくとよい。カタツムリは成長を妨げるので注意すること。

日焼け・葉焼け

夏の強い直射日光に当てると、葉が日焼けを起こします。日焼けにより植物がストレスを感じ弱り、葉が茶色く枯れてしまいます。直射日光は避け、必ず遮光(50%くらい)をする。

植え替えと鉢増しについて

株も大きく成長し根に問題がなければ株分けすることも可能。植え替えの時期は3年に1度くらい。株が大きくなるようなら大きめの鉢に植え替える。鉢は洋ラン用でなくても普通の素焼き鉢、プラスチック鉢、またはチーク製バスケットなどでも良い。自生地をイメージして、木に活着させたりコルク板やヘゴ板に活着させ楽しむこともできる。

バルブは毎年成長する。枯れてきたり萎れてきた場合は抜いたほうがよい。

【Cymbidiella rhodochila, Cymbidiella pardalina】
撮影:2019年4月21日
【Cymbidiella rhodochila, Cymbidiella pardalina】
撮影:2019年4月21日

2019年 開花日:4月11日(蕾数:17)〜

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